はじめに|「この伝票、いつ作られた?」が分からない問題
- 受注はあるのに、なぜ会計伝票がない?
- 入庫しただけで仕訳が切られているのはなぜ?
- MRPを回したのに在庫も会計も動かない?
- 「検収」「請求書照合」「入金消込」の違いが曖昧
S/4HANAでは、
1つの業務操作から複数の標準伝票が連動して作成されます。
本記事では、
- S/4HANAにおける標準伝票の考え方
- SD/MM/PP/FI それぞれの役割
- MRPや購買・請求・入金がどこに位置するのか
を 業務フロー目線 で整理します。
第1章|まず前提:S/4HANAにおける「標準伝票」とは?
標準伝票とは何か
- 業務操作の結果として自動作成されるSAPの公式伝票
- カスタムではなくSAP標準で管理される
標準伝票の大きな分類
- 業務伝票(SD/MM/PP)
- マテリアル伝票(在庫)
- 会計伝票(FI)
- Universal Journal(ACDOCA)
重要な考え方
- 業務 → 在庫 → 会計 の順で連動
- FIは単独では動かない
第2章|全体像:SD・MM・PP・FIはどうつながっている?
モジュール横断の全体フロー
- 受注 → 在庫管理 → 出荷 → 会計
- SD/MM/PPは「業務起点」
- FIは「結果を金額で受け取る役割」

第3章|SD編:販売プロセスで作成される標準伝票
SDで登場する主な標準伝票
- 受注伝票
- 出荷伝票
- 請求伝票
- 会計伝票
SDの標準フロー
- 受注:業務伝票のみ
- 出荷(PGI):在庫+会計が動く
- 請求:売上・売掛金が計上される
SDで会計が動くタイミング
- 「受注では動かない」
- 「出荷/請求がトリガー」
販売プロセス(ステップ × 伝票 × 手動/自動)
| 業務ステップ | 作成される伝票 | T-code | 手動/自動 | 会計影響 |
|---|---|---|---|---|
| 受注登録 | 受注伝票 | VA01 | 手動 | なし |
| 出荷登録 | 出荷伝票 | VL01N | 手動 | なし |
| 出庫処理(PGI) | マテリアル伝票 | VL02N | 自動 | 在庫減 |
| 〃 | 会計伝票 | VL02N | 自動 | 原価 |
| 請求 | 請求伝票 | VF01 | 手動 | なし |
| 〃 | 会計伝票 | VF01 | 自動 | 売上・売掛金 |
第4章|MM編:購買・在庫で作成される標準伝票
MMで登場する主な標準伝票
- 購買発注依頼
- 購買発注
- マテリアル伝票(入庫)
- 請求書伝票
- 会計伝票
MMの標準フロー
- 購買発注依頼:社内の「お願い」
- 購買発注:取引先との約束
- 検収(入庫):在庫と会計が同時に動く
- 請求書照合:買掛金が計上される
「検収」「請求書照合」の役割の違い
- 検収=モノの受領
- 請求書照合=お金を払う義務の確定
購買・在庫プロセス
| 業務ステップ | 作成される伝票 | T-code | 手動/自動 | 会計影響 |
|---|---|---|---|---|
| 購買発注依頼 | 購買発注依頼 | ME51N | 手動/MRP自動 | なし |
| 購買発注 | 購買発注 | ME21N | 手動 | なし |
| 検収(入庫) | マテリアル伝票 | MIGO | 手動 | 在庫増 |
| 〃 | 会計伝票 | MIGO | 自動 | 在庫 |
| 請求書照合 | 請求書伝票 | MIRO | 手動 | なし |
| 〃 | 会計伝票 | MIRO | 自動 | 買掛金 |
第5章|PP編:生産プロセスで作成される標準伝票
PPで登場する主な標準伝票
- 計画指図
- 生産指図
- 作業実績伝票
- マテリアル伝票
- 会計伝票
PPの標準フロー
- 計画指図:計画段階
- 生産指図:実行段階
- 部品払出:在庫減少+会計
- 作業実績:原価集計
- 製品入庫:在庫増加+会計
生産プロセス
| 業務ステップ | 作成される伝票 | T-code | 手動/自動 | 会計影響 |
|---|---|---|---|---|
| 計画指図 | 計画指図 | MD11 | 手動/MRP自動 | なし |
| 生産指図 | 生産指図 | CO01 | 手動 | なし |
| 部品払出 | マテリアル伝票 | MIGO | 手動 | 在庫減 |
| 〃 | 会計伝票 | MIGO | 自動 | 原価 |
| 作業実績 | 実績伝票 | CO11N | 手動 | 原価集計 |
| 製品入庫 | マテリアル伝票 | MIGO | 手動 | 在庫増 |
| 〃 | 会計伝票 | MIGO | 自動 | 在庫 |
第6章|FI編:会計伝票はどこから生まれるのか FIの基本的な役割
- 業務は起こさない
- 他モジュールの結果を記録する
FI伝票が作成される代表的なタイミング
- 入庫
- 出荷
- 請求
- 請求書照合
- 入金消込
入金消込とは何か
- 売上計上後の「回収管理」
- SDではなくFIの処理
会計はプロセス
| トリガー | 元モジュール | T-code | 手動/自動 |
|---|---|---|---|
| 出庫処理 | SD | VL02N | 自動 |
| 入庫 | MM / PP | MIGO | 自動 |
| 請求 | SD | VF01 | 自動 |
| 請求書照合 | MM | MIRO | 自動 |
| 入金消込 | FI | F-28 | 手動 |
補足|MRPは「自動だが、会計は動かない」
- MRPは計画処理
- 自動で
- 購買発注依頼
- 計画指図
を作成することはある
- 在庫・会計伝票は一切作られない
👉 「自動=会計が動く」ではないのが重要ポイントです。
補足|よくある混乱ポイントまとめ
- なぜこの時点で会計が動かないのか
- なぜ自動で仕訳が切られるのか
- なぜSDとMMで会計のタイミングが違うのか
- MRPと発注・生産の違い
→ すべて 標準フロー通り
標準伝票と用語の対応整理(表)
- 購買発注依頼
- 検収(入庫)
- 請求書照合
- 入金消込
- MRP
それぞれの
モジュール/役割/会計影響の有無 を一覧で整理。
まとめ|標準伝票は「業務の結果」として作られる
- S/4HANAでは伝票は勝手に作られているわけではない
- すべて「業務フロー上の必然」
- 重要なのは
どの操作が、どの伝票を生み、どこで会計に影響するか

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