はじめに|立ち止まって考え始めた、その感覚について
SAPの仕事を数年続けてきて、
現場にも慣れ、一定の評価も得ている。
大きな不満があるわけでもなく、仕事が回らなくなっているわけでもない。
それでも、ふとした瞬間に、
- このままでいいのだろうか
- 今やっていることは、将来につながっているのだろうか
そんな感覚がよぎることはないでしょうか。
多くの場合、この違和感は
「辞めたい」という明確な気持ちよりも、
一度立ち止まって考えたいという感覚に近いものです。
仕事に真剣に向き合ってきたからこそ、
次の段階を意識し始める。
それ自体は、とても自然な流れです。
この記事では、
この違和感の正体を整理しながら、
今後の選択肢を考えるときに
判断の軸として持っておきたい視点をまとめていきます。
判断軸① 今の不安は「SAPそのもの」の問題か?
違和感を感じたとき、
つい「SAPが合わないのかもしれない」と考えてしまいがちです。
ただ、その前に一度立ち止まって整理してみてください。
- SAPというプロダクト自体が嫌なのか
- 業務内容が合わないのか
- プロジェクトの進め方か
- 人間関係や評価制度か
実は、「SAPが嫌だ」と思っていた不満の正体が、
案件や環境要因であるケースは少なくありません。
案件が変わるだけで、
同じSAPでも働きやすさや面白さが大きく変わることもあります。
まずは「何が一番つらいのか」を切り分けることが、最初の判断軸です。
判断軸② 今の会社で「役割の広がり」はあるか?
SAP経験者が数年経って不安を感じやすい理由のひとつが、
役割が固定されやすいことです。
- ずっと同じモジュール
- ずっと同じ工程
- 得意な領域だけを任され続ける
この状態が続くと、
成長しているはずなのに停滞感を覚えやすくなります。
ここで考えたいのは、
今の会社で次のような広がりが期待できるかどうか。
- 上流工程への関与
- モジュール横断の経験
- 業務側との折衝や判断への関与
もしまだ広げられる余地があるなら、
今すぐ環境を変える必要はありません。
判断軸③ 市場から見た自分の立ち位置を知っているか?
ここは、多くのSAP経験者が一番悩みやすいポイントです。
今の会社では評価されている。
ただ、それが「外から見ても同じか」は分からない。
社内評価と市場評価は、必ずしも一致しません。
社内ではプロジェクト事情や人手不足によって
重要な役割を担っていることもあります。
一方で外からは、
- どんな経験をしてきたか
- 何を任せられる人材か
- どんな価値を出せるか
という視点で見られます。
このギャップを知らないまま悩み続けると、
不安は想像だけで膨らんでしまいます。
もし今、
「自分が外からどう見られるのか分からない」
という感覚があるなら、一度外の人と関わる機会が必要かもしれません。
判断軸④ 環境を変える=「今すぐ決断」だと思い込んでいないか?
選択肢として「環境を変えること」が頭をよぎると、
どこか重たい気持ちになる人も多いと思います。
- すぐに決断しなければいけない
- 今の環境を否定することになる
でも実際には、
多くのSAP経験者は決める前の段階で立ち止まっています。
- 今すぐ何かを変えるつもりはない
- でも選択肢は知っておきたい
- 自分の立ち位置を一度確認したい
考えることと、決断することは別物です。
この区別がついているだけでも、気持ちはかなり楽になります。
判断軸⑤ 今の環境で「SAP以外の視点」を身につけられるか?
3〜10年目のSAP経験者が感じる不安の多くは、
自分はSAPの中だけで完結する人材なのでは?
という感覚に集約されます。
ここで考えたいのは、
今の環境で視野がどれくらい広がっているか。
- 業務全体の意思決定に関われているか
- 周辺システムやデータも意識できているか
- 設定する人ではなく「考える人」になれているか
もし「SAP作業」に閉じている感覚が強いなら、
将来像が描きにくくなるのは自然なことです。
判断軸⑥ このまま続けた場合の「5年後」を具体的に想像できるか?
違和感を感じたとき、
どうしても「今がつらいかどうか」に目が向きがちです。
ただ、SAP経験者にとって重要なのは、
今より少し先の自分を、現実的に想像できるか
という視点です。
- 5年後、どんな役割を担っていそうか
- 年齢が上がっても、この働き方は続けられそうか
- 社内にロールモデルがいるか
もし想像できない、
あるいは想像すると前向きな気持ちになれないなら、
それは「失敗」ではなく、
一度選択肢を整理したほうがいいサインです。
情報収集として選択肢を知るという行動
実際、SAP経験者の中には、
- 今すぐ何かを変えるつもりはない
- でも外の状況は知っておきたい
という理由で、
情報収集として外の選択肢を確認する人も多くいます。
条件や事例を知ることで、
- 自分の経験の位置づけ
- 評価されやすいポイント
- 今後伸ばすべき方向
が具体的になり、
結果的に「今の環境で続けよう」と腹落ちする人も少なくありません。
SAP経験者が考えるときの判断軸まとめ
| 判断軸 | いま確認したい問い | いまの環境に残る判断 | 一度立ち止まって 整理したい判断 |
|---|---|---|---|
| ① 不安の正体 | この違和感はSAPそのものか、それとも環境か? | 案件・人・進め方など環境要因が大きい | SAPそのものに違和感がある |
| ② 役割の広がり | 今後、役割や経験を広げられそうか? | 上流・横断など広がりが見える | 役割が固定されている |
| ③ 市場からの見え方 | 外から見た自分の立ち位置を把握しているか? | 市場感をある程度理解している | 想像だけで不安になっている |
| ④ 思い込み | 環境を変える=今すぐ決断だと思っていないか? | 考えることと決断を切り分けられている | すぐ決めないと前に進めない |
| ⑤ 視点の広がり | SAP以外の視点も身についているか? | 業務やIT全体を意識できている | SAP作業に閉じている感覚が強い |
| ⑥ 将来像 | このまま続けた5年後を具体的に描けるか? | 役割や姿をある程度想像できる | 想像できず、漠然と不安 |
皆さんの中ではどれに当てはまりましたでしょうか。
右側が多い場合は **「一度、考えを整理した方がいいフェーズ」**に入っている状態です。
ここまで整理できていれば、
もう「感情だけで悩んでいる状態」からは抜け出しています。
この判断軸を眺めてみて、
- すぐに何かを変える必要はなさそう
- でも、この違和感を放置するのも違う気がする
そう感じた方も多いかもしれません。
実際、SAP経験者の多くは
**「答えを出したい」というより、
「一度ちゃんと整理したい」**という段階で立ち止まります。
そうしたときに役立つ考え方を、
別の記事でより丁寧にまとめています。
▶ SAPを3〜6年やって「このままでいいのか?」と感じたときに考えること
今すぐ何かを決めるための記事ではなく、
考えを言葉にして整理するための記事です。
おわりに|判断軸があれば、選択は怖くならない
違和感を覚えるのは、
立ち止まって考えられる位置に来た証拠です。
今すぐ答えを出す必要はありません。
ただ、不安を放置したまま時間が過ぎるのは消耗します。
判断軸を持ち、
選択肢を整理すること。
それだけで、今の仕事の見え方は少し変わるはずです。


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