SAP S/4HANA上に出力されたファイル(ログファイル、CSV、アプリケーションデータなど)をダウンロードする方法はいくつか存在します。この記事では、代表的な方法であるAL11・CG3Yに加えて、他の実用的な手段も含めてご紹介します。
AL11からダウンロードすると正しいファイル形式で出力されないため、是非こちら記事を参考にしてください。
【方法】AL11画面からダウンロード
手順
- トランザクション
AL11
を開く - 対象のディレクトリを選択
- ファイルをダブルクリック
- 上部メニュー「システム」 → 「リスト」 → 「ローカルファイルに保存」
特徴
- SAP GUIで画面に表示された内容を人間向けに保存
- 改行や文字コードがGUIに依存
事前設定・注意点
- SAP GUIがインストールされている必要があります
- 表示されるのはテキスト形式に整形された内容(CSVやバイナリデータは適さない)
- 出力ファイルは環境設定により文字化けする可能性あり(特にUTF-8)
【方法】CG3Yでのダウンロード
手順
CG3Y
を起動- SAPサーバ上のファイル名(AL11パス)を入力
- ローカルPC保存先を指定
- 実行
特徴
- バイナリ形式でファイルを正確にコピー
- CSV、PDF、Excelなども壊さず保存可能
事前設定・注意点
- 対象ファイルにアクセス可能な権限が必要
- フルパス入力を誤るとエラーになる(パスのコピペ推奨)
- ファイル名に日本語があると文字化けやエラーになる場合あり
エラーが発生した場合
トランザクション CG3Y や CG3Z を使用してファイルをダウンロードまたはアップロードする際に、「論理ファイル名に物理パスが設定されていない」というエラーが発生することがあります。この問題を解決するためには、トランザクションコード FILE
を使用して、論理ファイル名と物理パスの設定を行う必要があります。
以下に、設定手順を詳しく説明しますが、SAP Note 3040953をご確認ください
論理ファイル名と物理パスの設定手順(トランザクション FILE)
論理パスの定義
- トランザクションコード
FILE
を実行します。 - 「論理パスの定義」セクションで、以下の項目を入力します:
- 論理パス名:任意の識別子(例:
Z_LOGICAL_PATH
) - 構文グループ:SAPサーバーのオペレーティングシステムに対応するもの(例:
UNIX
またはWINDOWS
) - 物理パス:実際のディレクトリパス(例:
/usr/sap/interfaces/
)
- 論理パス名:任意の識別子(例:
論理ファイル名の定義
- 「論理ファイル名の定義」セクションで、以下の項目を入力します:
- 論理ファイル名:任意の識別子(例:
Z_LOGICAL_FILE
) - 論理パス:先ほど定義した論理パス名(例:
Z_LOGICAL_PATH
) - 物理ファイル名:ファイル名(例:
data_<DATE>.txt
) - データフォーマット:適切なフォーマットを選択(例:
ASCII
)
- 論理ファイル名:任意の識別子(例:
変数の使用(オプション)
物理ファイル名に変数を使用することで、動的なファイル名を設定できます。
<DATE>
:現在の日付(例:20230412
)<TIME>
:現在の時刻(例:153045
)
これにより、ファイル名を data_20230412.txt
のように動的に生成できます。
その他のファイルダウンロード方法
CG3Zとの違い
CG3Z
は ローカル → サーバへアップロード に使うコマンドCG3Y
がダウンロード
ABAPプログラムを使う
カスタムプログラム(または標準のREPORT)で OPEN DATASET
、TRANSFER
などを用いてファイルを出力し、それをCG3Y等で取得する構成も一般的。
事前設定・注意点
- ファイル出力先のディレクトリ(/usr/sap/…)が定義されている必要あり(AL11で確認)
- 権限オブジェクト(S_DATASETなど)の設定
- 定期ジョブ登録にはBasisや開発との連携が必要
WebGUI(SAP GUI for HTML)経由
Webベースでアクセスしている場合、ファイルリンクを右クリック → 「名前を付けて保存」などで保存可能なケースもあり
注意点
- 出力対象がHTMLでレンダリングされている必要あり
- WebGUIでは一部のダウンロードが制限されることがある
SFTP/FTP経由
外部サーバとファイルサーバをつなぐ構成がある場合、定期バッチで出力されたファイルをSFTP経由で取得する手段も実務で多用されます。
事前設定・注意点
- SAPサーバと外部サーバ間で鍵認証またはFTP接続が設定されている必要あり
- Basisチームによる設定と保守が必要
- ジョブスケジューリング(SM36)やファイル命名規則の設計も重要
【まとめ】目的別のおすすめ方法
目的 | おすすめ手段 |
---|---|
画面でざっと内容確認し、そのまま保存したい | AL11から直接 |
CSVやExcelファイルを正確に取得したい | CG3Yでバイナリ転送 |
サーバへファイルをアップロードしたい | CG3Z |
外部システムとの連携がある | SFTP/ABAP/ジョブ組み合わせ |
SAPでは、目的やファイル形式によって最適なダウンロード手段が異なります。事前にどのような設定や権限が必要かを把握し、業務の効率化につなげていきましょう!
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