こんにちは!
IT業界やコンサル業界で注目を集めているSAPコンサルタントですが、
これからキャリアを築いていきたいという方も多いのではないでしょうか。
よくある質問のひとつに、「会計って苦手でもSAPコンサルになれるの?」というものがあります。
結論から言うと、完全に会計ができなくてもスタートはできますが、“最低限の知識”は必須です。
この記事では、これからSAPコンサルを目指す方に向けて、
- そもそも会計とは?
- なぜSAPで会計知識が必要なのか?
- 会計を知らないとどんなところで困るのか?
- 販売・物流・生産担当でも関係あるのか?
といった観点から、会計の重要性を解説していきます。
会計とは何か?基礎のキソ
まず、「会計」とは一体何をするものでしょうか?
簡単に言えば、企業のお金の流れを記録し、整理・報告するしくみです。
たとえば、仕入れをした、商品を売った、給与を払った――こういった取引をすべて帳簿に記録し、財務諸表(損益計算書や貸借対照表)としてまとめます。
会計は大きく分けて以下の2種類があります。
- 財務会計(FI: Financial Accounting)
→ 主に外部(税務署、株主、銀行など)に対して会社の経営状況を報告するための会計 - 管理会計(CO: Controlling)
→ 内部での経営分析やコスト管理のための会計
SAPでは、この2種類の会計がそれぞれFIモジュール、COモジュールとして存在し、企業全体の業務と密接につながっています。
なぜSAP導入に会計知識が必要なのか
SAPは、販売、購買、生産、在庫、会計など、企業のあらゆる業務を一元管理するERPシステムです。
たとえば…
- 商品を販売 → 売上計上(FI)、利益分析(CO)
- 原材料を仕入れ → 在庫増加と買掛金計上(FI)
- 工場で生産 → 原価計算と仕掛品の会計処理(CO)
このように、業務の最後には必ず“会計への記録”が発生するため、どの業務モジュールでも会計と切っても切れない関係にあります。
会計を知らないと、設計時やテスト時に「なぜこの伝票が出てくるのか」「どこで金額がずれるのか」といった疑問に対応できません。
会計知識がないと困るポイント
要件を正しく理解できない
顧客が「仕入れごとのコストを部門別に管理したい」と言っても、“原価センター”や“伝票の流れ”がわからないと設計に落とし込めません。
システム連携の不具合が解決できない
SAPでは仕訳が自動で起票されますが、連携先のFIやCOの設定を知らないと、エラーの原因を把握するのが難しくなります。
ユーザーからの質問に答えられない
「この伝票ってどこに反映されてるの?」「消費税が二重に計上されてない?」といった問い合わせに対応するには、会計の理解が必要です。
SAPにおける会計モジュールの役割
SAPの会計モジュールの主な機能は以下のとおりです。
モジュール名 | 主な役割 |
---|---|
FI(財務会計) | 総勘定元帳、売掛金管理、買掛金管理、固定資産管理など |
CO(管理会計) | コストセンター、内部オーダー、利益センター、原価計算など |
AA(資産会計) | 固定資産の取得・除却、減価償却管理など |
これらのモジュールは、他の業務モジュール(SD、MM、PPなど)と連携して、仕訳を自動生成します。
そのため、コンサルはFIやCOの基礎を理解しておくことで、より精度の高い設計・運用が可能になります。
販売・物流・生産モジュールでも会計知識が求められる理由
FIやCOモジュールに限らず、SD(販売管理)・MM(購買管理)・PP(生産管理)などを担当するコンサルにも、会計知識は必要不可欠です。
SD(販売管理)モジュールの場合
請求処理をすると、売上と売掛金がFIに転記されます。設定ミスがあると伝票が飛ばず、売上未計上などの問題が発生します。
MM(購買・在庫管理)モジュールの場合
入庫処理を行うと、在庫資産の増加と買掛金の計上がFIに連動します。仕訳が起きる条件を理解しておかないと、正しい設計ができません。
PP(生産管理)モジュールの場合
生産指図を完了させると、仕掛品の減少や製品在庫の増加がCO/FIに反映されます。原価計算との連携も必要です。
つまり、どのモジュールでも、最終的に会計へつながるため、連携ポイントや発生する仕訳を知っておく必要があります。
どの程度の知識が求められる?
「会計って難しそう…簿記1級とか必要?」と不安になる方もいるかもしれませんが、そこまで専門的な知識は不要です。
まずは以下のような基本を押さえておけばOKです。
- 勘定科目の種類(資産、負債、費用、収益)
- 借方・貸方のルールと仕訳の書き方
- 仕訳の流れ(売上・仕入・支払いなど)
- 財務諸表(B/S・P/L)の構成
- コストセンター、内部オーダーの意味
実際の現場では、これらの知識があるかどうかで、理解力やトラブル対応力に差が出ます。
初学者におすすめの会計の学び方
簿記3級をざっくり学ぶ
市販のテキスト(例:スッキリわかるシリーズ)を使って、仕訳の感覚を身につけましょう。
SAPと会計のつながりをイメージ
「売上処理をすると、どんな仕訳が起きる?」など、SAPの処理と会計をセットで考える癖をつけるのがポイントです。
実務で少しずつ理解を深める
最初はよくわからなくてもOK。実際の設定画面や伝票を見ながら、経験を通して理解が進みます。
まとめ:SAPコンサルとして成長するために
SAPコンサルタントとして活躍するには、「モジュール知識+会計の基礎理解」が欠かせません。
特にFI・COだけでなく、販売や購買、生産などの業務モジュールを担当する場合でも、会計知識があることで、
- クライアントとのコミュニケーションがスムーズになる
- 設計・開発時のトラブルが減る
- システムの全体像を把握できる
といった大きなメリットがあります。
会計が苦手でも、少しずつ学んでいけば大丈夫。
将来、信頼されるSAPコンサルになるために、ぜひ“今”から学び始めてみてください!
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