未経験からSAPコンサルへ。最初の1年で「絶対に守るべき」3つの習慣

IT活用

はじめに|SAPの迷宮に放り込まれた、あなたへ

SAPコンサルタントとしてのキャリアをスタートさせたばかりの皆さん、まずはこの世界へようこそ。

おそらく今、皆さんの頭の中は、数え切れないほどのTコード(トランザクションコード)、謎のカタカナ用語、そして「SPRO」という深い迷宮の中に放り出され、パニック寸前ではないでしょうか。

  • 「打ち合わせに出ても、飛び交う専門用語が呪文にしか聞こえない」
  • 「マニュアル通りに設定しているはずなのに、なぜかエラーが消えない」
  • 「そもそも、自分が今作っている伝票がビジネスのどこに繋がっているのか分からない」

かつての私も全く同じでした。特に未経験からの1年目は、毎日が「自分の無知との戦い」です。しかし、この時期に「ただの作業員」として過ごすか、「プロのコンサルタント」としての土台を作るかで、数年後の年収も、アサインされるプロジェクトの質も、そして「自由な働き方」の実現可否も、すべて決まってしまいます。

今回は、私がこれまでの失敗から学んだ、**「未経験者が最初の1年で死守すべき3つの習慣」**を徹底解説します。


画面の「操作方法」ではなく、裏側の「お金の動き」を追う(習慣一)

最初の1年で最も陥りやすい罠が、**「マニュアルの通りに設定(カスタマイズ)できれば仕事は終わり」**だと思い込んでしまうことです。

SAPは「ERP(企業資源計画)」であり、その本質は「企業のリアルなお金とモノの動きをデジタルで統合すること」にあります。しかし、未経験の頃は目の前の「入力項目を増やす」ことや「エラーを消す」ことに必死で、それが会計や在庫にどう影響するかまで頭が回りません。

【私の失敗談:会計を壊した「良かれと思って」の必須化】

新人の頃、MM(購買管理)の担当だった私は、ユーザーから「発注画面でこの項目を必須にしてほしい」と言われました。何も考えず「簡単ですよ!」とカスタマイズで必須化。ところが、その設定が原因で、後続の「請求書照合(MIRO)」の自動処理が停止し、月末の決算に影響が出るという大トラブルを引き起こしました。 「画面の項目」をいじったつもりが、裏側でつながっている「お金の流れ(会計伝票)」を止めてしまったのです。

実践すべき「E2E(End-to-End)」の思考法

  • 「仕訳」を意識する習慣:このボタンを押したら、どこの勘定科目にいくら記帳されるのか?を常に考える。
  • 「なぜこの項目があるのか?」を問う:標準機能を使うときは、その機能が解決する「業務上の目的」を3行で説明できるようにする。
  • 手書き図解の作成:受注(SD)から入金(FI)までの一連の流れを、白い紙に手書きで図解してみる。

旅するコンサルの視点 言葉が通じない海外プロジェクトでも、「Debits(借方)/ Credits(貸方)」の動きは世界共通です。裏側のデータの流れさえ掴んでいれば、どんな国、どんなシステムのプロジェクトでも戦えます。


「知ったかぶり」を捨て、毎日10分の「マイクロ・アウトプット」を出す(習慣二)

SAPの世界はあまりにも広大です。10年選手でも「知らない機能」があるのは当たり前。それなのに、未経験者は「分からないと言ったら無能だと思われる」と恐怖を感じ、打ち合わせで分かったふりをして頷いてしまうことがあります。これが「なんちゃってコンサル」への最短ルートです。

【私の失敗談:「分かりました」と言って無駄にした貴重な1日】

先輩コンサルから「このBAPI(外部連携用のインターフェース)を使って、アドオンの仕様を考えておいて」と言われた時のこと。正直、BAPIが何かも分かっていませんでしたが、恥ずかしくて「はい!」と返事をしてしまいました。 結果、Googleで検索してもよく分からず、丸一日かけて作った資料は全くの的外れ。翌朝、先輩に「なぜ昨日の時点で聞かなかったんだ?」と厳しく詰められ、プロジェクトのスケジュールを1日遅らせてしまいました。

実践すべき「検証と記録」のループ

  • 「20分ルール」の徹底:分からないことを20分以上放置しない。自分で調べて分からなければ、自分の仮説(「自分はこう思いますが、合っていますか?」)を持って質問する。
  • 毎日10分の「マイクロ・アウトプット」:その日に学んだTコード、機能、解決したエラーを、Google Keepなどに「自分の言葉」で3行まとめる。
  • サンドボックス(検証環境)の活用:マニュアルを読むだけでなく、検証環境で実際に設定し、データを流してみる。「自分の目で見た挙動」こそが、最強の武器になります。

旅するコンサルの視点 知識は「持っている」だけでは無価値です。「クライアントに説明できる言葉」になって初めて価値になります。日々のメモは、数年後のあなたを助ける「攻略本」になります。


データに基づいた「自己管理」を徹底する(習慣三)

意外かもしれませんが、SAPコンサルタントにとって最も重要なスキルの一つが**「自己管理(コンディショニング)」**です。 SAPプロジェクトは、数ヶ月〜数年にわたるマラソンです。特に稼働直前の「山場」では、極限状態での判断力が求められます。寝不足で頭が回らないコンサルタントが下した1つの誤った判断が、企業の基幹システムを数時間停止させる……そんなリスクと隣り合わせの仕事なのです。

【私の失敗談:体力過信が生んだ「10倍のミス」】

国Aの緊急バグ対応と国Bの導入が重なり、睡眠時間を削って対応していた時期がありました。朦朧とした意識の中で本番環境の設定変更を行った際、本来「100」と入力すべきパラメータを「10」と入力。 翌朝、現地の全工場で出荷が止まるという大パニックが起きました。原因は技術不足ではなく、「ただの寝不足による集中力欠如」。プロとして最も恥ずべきミスでした。

実践すべき「プロのコンディション作り」

  • スマートウォッチでの可視化:私はFitbitやPixel Watchを使い、睡眠の質とストレス値を毎日チェックしています。「今日はスコアが低いから、重要な判断は午後に回そう」といった、データに基づく調整を行います。
  • 「休む」をタスクに入れる:多忙な時ほど、あえてPCを閉じて散歩する。脳をリセットする時間が、結果としてアウトプットの質を上げます。
  • 移動オフィスの最適化:旅するコンサルとして、常にコンパクトで軽量なガジェットを揃え、どんな環境でも最高のパフォーマンスを出せる準備を整えておきましょう。

「なんちゃってコンサル」予備軍の3つの特徴

もし、あなたが以下のような行動をとっていたら、今のうちに意識を変える必要があります。

  1. 「資格取得」がゴールになっている 資格はあくまで「入場券」です。資格マニアでシステムを触れない人より、一つのエラーと一晩向き合って解決した人の方が、現場では圧倒的に信頼されます。
  2. 「調べ方」を学ぼうとしない 先輩に聞くのは良いことですが、答えだけを貰うのはNG。「どのノート(SAP Note)を、どんなキーワードで検索したのか?」という「調べ方の技術」を盗んでください。
  3. 「標準機能だから」を言い訳にする 「標準機能がこうなっているから、業務を変えてください」とだけ言うのは、コンサルではありません。なぜ標準がそうなっているのか、どうすれば業務とのギャップを最小限にできるか、知恵を絞るのが私たちの仕事です。

まとめ|1年後のあなたは、どんな景色を見ていたいか?

未経験からの1年間は、正直言って苦しいことの連続です。 毎日自分の無知に絶望し、膨大なドキュメントを前に呆然とすることもあるでしょう。

しかし、今回お伝えした**「裏側のプロセスを追う」「アウトプットを継続する」「自己管理をプロとして行う」**という3つの習慣を死守すれば、1年後、あなたの見える景色は劇的に変わります。

クライアントから「〇〇さんに聞けば安心だ」と言われる瞬間。 自分が設計したプロセスが、世界中の工場やオフィスで実際に動き出す瞬間。 そして、「旅するコンサル」として、自分のスキル一つで世界中どこでも自由に働ける自信を手にする瞬間。

その未来は、今日、あなたが目の前のSAP画面にどう向き合うかから始まっています。 泥臭く、着実に、一生モノの土台を作っていきましょう。

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