S/4HANA案件だけやっているSAPコンサルが危ない5つの理由

将来性

今は安定して見えても、5年後に詰む可能性がある人の共通点

「今はS/4HANA案件に関われているし、とりあえず安泰だろう」
もしあなたがそう感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。

確かに、SAP S/4HANAは現在も需要が高く、
案件数も多く、SAPコンサルにとって“王道”の領域です。
周囲から見ても「勝ち組」に見えるポジションかもしれません。

しかし実は、
S/4HANA案件“だけ”をやり続けているSAPコンサルほど、
中長期的に見るとキャリアリスクを抱えやすい
という現実があります。

この記事では、
なぜ「S/4HANAだけ」が危ないのか、
そして今から何を意識すれば回避できるのかを整理します。

不安を煽るための記事ではありません。
今のうちに気づけば、十分に避けられる話です。


なぜS/4HANA案件は「安定して見える」のか

まず前提として、S/4HANA案件が安定して見える理由を整理しておきます。

  • ECCからの移行需要が続いている
  • 大規模プロジェクトが多い
  • 慢性的な人手不足
  • 「S/4HANA経験者」という肩書きが評価されやすい

このため、「S/4HANA案件に乗れている=市場価値が高い」と
錯覚しやすい状況が生まれています。

ただし、この安定感は
S/4HANA移行期という時代背景に強く依存している
という点を見落としてはいけません。


理由①:やっている仕事が「移行作業」に偏りやすい

S/4HANA案件の実態を冷静に見ると、
多くのプロジェクトの主目的は
「新しい価値を作ること」ではなく、
既存ECC業務を安全に移行することです。

そのため実務は、

  • 現行業務の棚卸し
  • 現行踏襲前提のFit & Gap
  • コンバージョン可否の検討
  • 標準機能への当てはめ

といった作業に偏りがちになります。

この経験自体は無駄ではありません。
しかし問題は、何年も同じ種類の仕事を続けてしまうことです。

後から振り返ったときに、

  • 自分は何を改善したのか
  • どんな価値を新しく生み出したのか

を説明しづらくなり、
「S/4HANA案件は経験してきたが、強みが見えない人」
になってしまうリスクがあります。


理由②:S/4HANAの「中」だけで完結してしまう

S/4HANAはERPとして完成度が高く、
良くも悪くも「SAPの中で完結する設計」になりやすい製品です。

その結果、

  • 周辺システムとの役割分担
  • データの流れ
  • 全体アーキテクチャ

といった視点を持つ機会が少ないまま、
S/4HANAの機能理解だけが深まっていくケースがあります。

すると、

  • 「SAPの設定は詳しい」
  • 「でも、IT全体の話になると弱い」

という評価を受けやすくなります。

中長期的には、
ERP専業人材=潰しが効きにくい人材
と見なされてしまう可能性もあります。


理由③:市場価値が「案件依存」になる

S/4HANA案件が豊富な今は、
「経験者」というだけで仕事が回ります。

しかしこれは裏を返すと、
自分のスキルではなく、案件状況に価値を支えられている状態
でもあります。

もし今後、

  • 移行案件が一巡した
  • プロジェクト規模が縮小した
  • より安価な人材が増えた

といった変化が起きた場合、
「S/4HANA案件にいた」という事実だけでは
自分の市場価値を守れなくなります。

市場価値が
「何ができるか」ではなく
「どの案件にいたか」で決まる状態は、
非常に不安定です。


理由④:キャリアの選択肢が意外と狭くなる

一見、S/4HANA特化は強そうに見えます。
しかし実際には、キャリアの横展開が難しくなるケースも多いです。

転職や独立の場面で、

  • 他ERPにどう応用できるか
  • SAP以外でどう価値を出すのか

を言語化できないと、
「専門性は高そうだが、応用力が見えない」
と判断されてしまいます。

結果として、

  • SAP前提の転職しかできない
  • 条件交渉が弱くなる
  • 実は選択肢が狭い

という状況に陥る人も少なくありません。


理由⑤:「次」を考える習慣がなくなる

これが一番、静かで危ないポイントです。

S/4HANA案件が続いていると、

  • 今は困っていない
  • 評価も悪くない
  • 周囲も同じことをしている

という安心感が生まれます。

その結果、

  • 新しい技術に触れなくなる
  • 業界トレンドに鈍くなる
  • 「この先どうなりたいか」を考えなくなる

という変化が、少しずつ起きます。

気づいたときには、
選べるキャリアの選択肢がほとんど残っていない
という状態になりかねません。


あなたは「S/4HANA一本足」になっていないか?

ここで一度、自分に問いかけてみてください。

  • S/4HANA以外の強みを説明できるか?
  • 周辺システムやデータの話ができるか?
  • SAP以外の仕事でも価値を出せそうか?
  • 今の案件が終わった後、やりたいことはあるか?

答えに詰まる項目が多いほど、
「一本足」リスクが高い状態です。


じゃあ、S/4HANA案件はやらない方がいいのか?

結論から言うと、そんなことはありません。

問題なのは、
「S/4HANAをやっていること」ではなく、
**「それしかやっていないこと」**です。

S/4HANAは、今でも
非常に強力なキャリアの“軸”になります。

重要なのは、
その軸に何を掛け算できているかです。


S/4HANAコンサルが今から意識すべき方向性

  • 周辺技術に触れる
    • データ活用
    • 業務自動化
    • AI・分析
  • 業務×IT×SAPで語れるようになる
  • 実装だけで終わらない案件を選ぶ
  • 全体設計・意思決定に関わる立場を狙う

こうした意識を持つだけで、
S/4HANA経験は「消耗するスキル」ではなく
長く使える武器になります。


S/4HANA案件だけに依存するリスクまとめ

理由起きやすい状態中長期リスク
移行作業に偏る仕事が単調・横展開しづらい強みが説明できない
S/4HANA内で完結ERP以外の視点が育たないIT全体で価値を出しにくい
案件依存の市場価値タイミングで評価が決まる市場価値を自分で制御できない
キャリアが狭まるSAP前提の選択肢のみ転職・独立で不利
次を考えなくなる学習・視野が止まる数年後に身動きが取れない

まとめ:S/4HANA“だけ”は危ない。でも使い方次第で最強になる

S/4HANA案件に関われていること自体は、
間違いなくプラスです。

ただし、
一本足のキャリアは不安定な将来が来るかもしれないです。

今のうちに、

  • 視野を広げる
  • 次の軸を作る
  • 自分の市場価値を言語化する

これができる人だけが、
5年後・10年後もSAP関係なくコンサルとして生き残り続けられる人材だと思います。

もし、本記事を見てキャリアが不安になった人は以下の記事も参考してみてください
SAP経験者が転職を考えるときの判断軸

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