SAPプロジェクトに参加すると、
必ずと言っていいほど最初に出てくるのが「組織系カスタマイズ」です。
会社コード、プラント、販売組織、購買組織。
名前は知っているし、設定したこともある。
でも正直なところ、
- 前のPJをなんとなく踏襲している
- 業務との関係をうまく説明できない
- なぜこの組織単位が必要なのか曖昧
という人も多いのではないでしょうか。
実はこの「組織系カスタマイズ」、
理解しているかどうかでPJの進めやすさが大きく変わる領域です。
この記事では、
どのPJでも必ず必要になる組織系カスタマイズを、
S/4HANA前提・PJ目線で整理します。
なぜ「組織系カスタマイズ」は毎回必要なのか
PJの業種や規模が変わっても、
必ず最初に検討するのが組織系カスタマイズです。
なぜなら、組織系は
業務とシステムを結びつける前提条件だからです。
- どの会社で
- どの拠点が
- 誰が
- 何を扱うのか
これが決まらないと、
- マスタ設計ができない
- 権限設計ができない
- テストが進まない
といった問題が必ず発生します。
組織系は「設定作業」ではなく、
PJ全体の土台と考えると理解しやすくなります。
組織系カスタマイズとは何か?
組織系カスタマイズは、
- マスタデータ
- トランザクション
とは異なり、
業務構造そのものをSAPに定義する設定です。
SAPでは、
実際の組織をそのまま再現するのではなく、
「システムとしてどう管理するか」という観点で
会社・拠点・組織を定義します。
そのため、
- 業務理解が浅いと設計できない
- 後から変えると影響が大きい
という特徴があります。
どのPJでも必ず登場する組織系カスタマイズ一覧
ここで一度、
S/4HANAプロジェクトでほぼ必ず設定する組織系を
一覧で整理しておきましょう。
組織系カスタマイズ一覧表
| 組織単位 | 主な役割 | ひも付く組織 | 業務的な意味・ポイント |
|---|---|---|---|
| 会社コード | 会計の最小単位 | – | 法人・決算単位。全モジュールの前提 |
| プラント | 拠点・在庫管理単位 | 会社コード | 工場・倉庫・店舗。ロジ系の中心 |
| 保管場所 | 在庫の最小管理単位 | プラント | 倉庫・区画・管理区分 |
| 販売組織 | 売上・請求管理単位 | 会社コード | 売上をどの単位で立てるか |
| 流通チャネル | 販売形態区分 | 販売組織 | BtoB/BtoC、卸/直販 |
| 製品部門 | 製品カテゴリ区分 | 販売組織 | 製品別分析・価格決定 |
| 購買組織 | 購買権限・契約単位 | 会社コード / プラント | 全社購買 or 拠点購買 |
👉 ポイント
- 組織系は「単体」ではなく関係性で理解する
- PJによる差はあっても、この表の組織はほぼ必須
各組織単位の役割をざっくり理解しよう
会社コード
会計上の最小単位であり、
法人・決算・税務と直結します。
FIだけでなく、ロジ・SD含めすべての前提になります。
プラント
工場・倉庫・店舗などの拠点単位。
在庫・購買・生産・販売すべてに関係するため、
業務設計の中心になる組織です。
保管場所
プラント配下の在庫管理単位。
分け方次第で運用負荷が大きく変わるため、
業務ヒアリングが重要になります。
販売組織・流通チャネル・製品部門
売上管理・請求・価格決定の軸。
分けすぎると複雑になり、
分けなさすぎると分析できなくなります。
購買組織
購買権限・契約管理の単位。
全社購買か拠点購買かで、
ガバナンスと運用が大きく変わります。
図解で理解する:組織系カスタマイズの全体構造
組織系は、
関係性を図で理解すると一気に腹落ちします。
組織系の基本構造
【会社コード】
├─【プラント】
│ ├─【保管場所】
│ └─【購買組織】
│
└─【販売組織】
├─【流通チャネル】
└─【製品部門】
この構造が、
S/4HANA組織系カスタマイズの基本形です。
なぜこの構造になっているのか
- 会社コード:会計・決算の最上位
- プラント:モノが動く業務の中心
- 販売組織/購買組織:売る/買うの役割分担
👉 誰が・どこで・何を・どのルールで扱うかを
明確にするための構造です。
なぜPJの最初に組織系を固めるのか
組織系は、
後から変えると影響範囲が非常に大きい設定です。
- マスタ再作成
- 権限見直し
- テストやり直し
PJ後半での変更は、
炎上の原因になりやすいため、
PJ初期にある程度固めることが必須です。
組織系カスタマイズでよくある勘違い
- 前PJと同じでいい
- とりあえず作ってから考える
- 業務側が決めるもの
- FIだけ分かっていればOK
実際には、
業務を整理し、構造に落とすのはコンサルの役割です。
PJで最低限押さえておきたい設定順の考え方
おすすめは、大枠 → 詳細の順です。
- 会社コード
- プラント/販売組織
- 購買組織
- 保管場所など下位組織
この順番を意識するだけで、
手戻りが大きく減ります。
「今さら聞けない」を卒業するために
組織系を理解している人は、
- 業務説明がうまい
- 要件整理が早い
- PJ全体を俯瞰できる
という特徴があります。
組織系は暗記ではなく、
構造理解がすべてです。
まとめ:組織系カスタマイズはSAPコンサルの基礎体力
- どのPJでも必ず必要
- モジュールが変わっても共通
- 表と図で理解すると一気に楽になる
「今さら聞けない」からこそ、
今あらためて整理する価値があります。


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