はじめに
SAPの仕事を数年続けていると、
ある日ふと、
- この年収って、今の負荷に見合っているのかな
- SAP経験者は「年収が高い」と言われるけど、正直実感がない
そんなことを考え始める瞬間があります。
周囲と比べてしまったり、
責任や業務量が増える中で、
「このままでいいのか?」という気持ちが出てくるのは、
とても自然なことです。
ただ、年収の話はどこかしづらく、
ネットで調べても
極端に高い数字ばかりが目に入ってきたり、
自分の状況に当てはめにくい情報が多かったりして、
余計にモヤっとしてしまうこともあると思います。
この記事では、
SAPを実際に経験してきた立場から、
SAP経験者の年収について、きれいごと抜きで整理していきます。
誰かを煽るためでも、
すぐに結論を出すためでもありません。
一度、冷静に考える材料をそろえるための記事です。
なぜSAPの年収は、調べても実感が湧きにくいのか
SAPの年収が分かりにくい一番の理由は、
「SAP」という言葉が指す範囲がとても広いことにあります。
- SAPコンサル
- SAPエンジニア
- 社内SE
- 保守・運用担当
同じ「SAP経験者」でも、
役割・責任・関わり方は大きく異なります。
さらに、
- 会社規模
- 案件規模
- 業界
- 導入フェーズか、運用フェーズか
といった条件によっても、
年収レンジは大きく変わります。
そのため、
「SAP経験◯年で年収◯万円」という情報を見ても、
自分に当てはめたときの実感が湧きにくいのです。
SAP経験者の年収が「高い」と言われる理由
それでもSAP経験者の年収が
比較的高いと言われるのには、
きちんとした理由があります。
SAPは、
会計・販売・購買・生産など、
企業の基幹業務を支えるシステムです。
一つの変更や判断が、
- 会計処理
- 業務フロー
- 原価や在庫
といった複数領域に影響するため、
横断的に考える力が求められます。
業務理解とITスキルをあわせ持ち、
影響範囲を意識しながら判断できる人材は、
代替がききにくく、
結果として評価されやすくなります。
この
「業務理解 × IT × 横断的視点」
が、SAP経験者の年収が高めに見られやすい背景です。
それでも「思ったほど上がらない」と感じやすい理由
一方で、現場にいるSAP経験者ほど、
- 負荷は増えているのに年収は大きく変わらない
- 責任の割に報われていない気がする
と感じやすいのも事実です。
理由のひとつは、
責任や調整の仕事が評価に反映されにくいことです。
トラブル対応や調整役は重要ですが、
成果が見えにくく、
年収として反映されるまでに時間がかかることも多い。
また、同じ会社・同じ立場を続けていると、
市場価値が上がっていても
社内評価とのズレが生じやすくなります。
結果として、
「世間では高いと言われているけど、
自分の実感としてはそうでもない」
という状態が生まれやすくなります。
SAP経験者の年収は「何で決まるのか」
SAP経験者の年収は、
単純に「経験年数」で決まるわけではありません。
差が出やすいのは、
どんな立ち位置で仕事をしてきたかです。
年数より「どんな役割を担ってきたか」
たとえば、
- 指示された設定・改修を中心に対応してきた人
- 要件整理や設計方針の判断を求められてきた人
では、
同じ年数でも評価は大きく変わります。
「この変更、どう考えるのが一番影響が少ない?」
と聞かれる立場にいるかどうかは、
年収に直結しやすいポイントです。
モジュール経験より「横断的に考えられるか」
FIやSDなどのモジュール経験も重要ですが、
年収差が出やすいのは
複数領域を跨いで考えられるかどうかです。
販売の変更が会計や原価にどう影響するか、
業務全体として無理がないかを考えられる人は、
全体を見て判断できる人材として評価されやすくなります。
設定ができる人か、理由を説明できる人か
SAPの現場では、
- なぜこの設定にしたのか
- 他の選択肢と比べて何が違うのか
を説明できるかどうかが重要です。
業務側に納得感を持って説明できる人は、
信頼され、役割も年収も上がりやすくなります。
業務側と直接会話し、調整できるか
要望をそのまま受け取るのではなく、
- なぜその要望が出ているのか
- 別の解決策はないか
を考え、調整できる人は、
技術以上の価値を出していると見なされます。
「忙しい人」より「任せられる人」になっているか
忙しく動いているかどうかよりも、
- トラブル時に任される
- 判断を求められる
といった
「この人に任せたい」と思われる立場にいるかどうかが、
年収に反映されやすい傾向があります。
自分の立ち位置を整理するための簡単チェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、
今の自分の立ち位置を整理するための
簡単なチェックリストを用意しました。
| チェック項目 |
|---|
| 要件や課題に対して、自分の判断を求められることが多い |
| 自分のモジュール以外の影響も意識して考えている |
| 設定理由や影響範囲を業務側に説明できる |
| 業務側と直接会話し、調整役を担うことがある |
| トラブル時に「まず相談される」立場にいる |
「はい」が多いほど、
年収が上がりやすい立ち位置に近づいています。
「いいえ」が多くても、
それは能力不足ではなく、
役割や環境の問題であることがほとんどです。
年収だけを軸にすると、SAPキャリアは迷いやすい
年収は大切ですが、
それだけを軸にキャリアを考えると、
違和感が残ることもあります。
年収が上がっても、
- 働き方が合わない
- 将来像が見えない
と感じるケースは少なくありません。
だからこそ、
年収とあわせて
自分がどんな立ち位置で働きたいのかを
整理することが大切です。
年収のモヤっとを整理するための考え方
年収について考えていると、
実は「お金そのもの」よりも、
- 働き方
- 将来像
- 責任の重さ
への違和感が混ざっていることが多いです。
その違和感を整理するための考え方を、
別の記事でまとめています。
すぐに何かを決めるための記事ではなく、
考えを整理するための記事です。
おわりに|年収を考えるのは、ちゃんと向き合っている証拠
SAP経験者が年収について考えるのは、
浅いからでも、欲張りだからでもありません。
それだけ仕事に向き合い、
この先のキャリアを真剣に考えている証拠です。
焦らなくて大丈夫です。
まずは、きれいごと抜きで整理するところからで十分です。


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