SAP BTPの料金モデルは「4種類」に整理できる
まず結論から述べます。
SAP BTPの料金モデルは、名称が多く見えるものの、
考え方としては以下の4種類に集約できます。
- CPEA(前払い・クレジット型)
- Pay-As-You-Go(後払い・従量課金型)
- サブスクリプション(固定費型)
- Free Tier / Trial(無料)
重要なのは、
**「新しい料金体系が次々に増えているわけではない」**という点です。
名前の違いに惑わされず、この4つを理解することが第一歩になります。
CPEA(Cloud Platform Enterprise Agreement)
概要
CPEAは、SAP BTPで最も中心となる料金モデルです。
年額でクレジットを前払いし、使った分だけ消費する方式になっています。
イメージとしては、
「企業向けプリペイド電子マネー」を想像すると分かりやすいでしょう。
メリット
CPEAの最大のメリットは、柔軟性の高さです。
- 多くのBTPサービスを横断的に利用できる
- PoCから本番まで同じ契約で進められる
- 全社契約として管理しやすい
特に、Clean Core方針のもとで
S/4HANAを拡張していく企業にとっては、
CPEAは事実上の標準選択になるケースも多いです。
デメリット
一方で、CPEAには明確な弱点もあります。
- 消費量が直感的に分かりにくい
- 使わなかったクレジットは基本的に戻らない
- 管理しないと「気づいたら減っている」
PoCを複数チームが並行して行うと、
誰が・何で・どれだけ使ったのか分からない状態に陥りがちです。
向いているケース
- 中〜大規模企業
- BTPを横断的に使う予定がある
- PoCと本番を継続的に回す組織
選ぶ際の観点
- 年間でどの程度BTPを使う想定か
- 消費量を誰が管理するのか
- PoCと本番の境界をどう設計するか
Pay-As-You-Go(PAYG)
概要
Pay-As-You-Goは、前払い不要の後払い型従量課金モデルです。
月次で「使った分だけ」請求されます。
メリット
PAYGの魅力は、とにかく始めやすい点です。
- 初期費用がかからない
- 契約ハードルが低い
- 小規模・短期利用に向いている
「まずは触ってみたい」というフェーズでは、
非常に使い勝手のよいモデルです。
デメリット
ただし、PAYGは万能ではありません。
- 単価がCPEAより割高になりやすい
- 利用量が読めないとコストが膨らむ
- 本番運用では予算管理が難しい
PoCの延長で使い続けてしまい、
月次請求を見て初めて問題に気づくケースも少なくありません。
向いているケース
- 短期PoC
- 部門主導の小規模検証
- CPEA契約前のお試し
選ぶ際の観点
- 利用期間は明確か
- 月次請求を許容できるか
- 上限管理の仕組みがあるか
サブスクリプション(Subscription)
概要
サブスクリプションは、月額または年額の固定費モデルです。
利用量に関係なく、契約した時点で費用が発生します。
メリット
- コストが読みやすい
- 予算化しやすい
- 常時稼働する基盤サービスと相性が良い
連携基盤や分析基盤など、
**「止まってはいけない仕組み」**には向いています。
デメリット
- 使わなくても費用が発生する
- スモールスタートには不向き
- 契約単位が分かりにくい場合がある
特にPoC用途で契約すると、
費用対効果が合わなくなるリスクがあります。
向いているケース
- 長期利用前提の基盤
- 利用量が安定している業務
- 全社共通サービス
選ぶ際の観点
- 本当に「常時使う」か
- 利用量の変動は大きくないか
- CPEAとの役割分担は明確か
Free Tier / Trial
概要
Free TierやTrialは、学習・検証向けの無料枠です。
期間や機能に制限があることが一般的です。
メリット
- コストゼロで試せる
- 学習・検証に最適
- 社内教育用途に向いている
デメリット
- SLAがない
- 商用利用不可のケースが多い
- 突然停止・仕様変更のリスク
向いているケース
- 個人学習
- 社内勉強会
- 技術検証レベル
4つの料金モデル比較
| 観点 | CPEA | PAYG | サブスク | Free |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 高 | 低 | 中 | 0 |
| 予算管理 | △ | △ | ◎ | ◎ |
| 本番利用 | ◎ | ○ | ◎ | ✕ |
| PoC向き | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
シーン別おすすめの選び方
- 短期PoCのみ → PAYG / Free Tier
- 部門単位の検証 → PAYG
- 全社基盤・拡張 → CPEA+サブスク
- Clean Core前提のS/4拡張 → CPEA中心
まとめ|BTPの料金は「契約前の設計」がすべて
SAP BTPの料金体系は複雑に見えますが、
4つのモデルに整理すれば理解可能です。
重要なのは、
- どのフェーズで使うのか
- 誰がコストを管理するのか
- PoCと本番をどう切り分けるのか
を契約前に決めることです。
料金モデルを理解したうえで設計すれば、
SAP BTPは「高いプラットフォーム」ではなく、
柔軟でコントロール可能な武器になります。
※本記事は2025年12月時点の情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。


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