はじめに
前回の記事では、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「WalkMe」の基本機能や、同じSAP製品であるEnable Nowとの違いを解説しました
今回は、近年注目を集めている**国産DAP「Techtouch(テックタッチ)」**とWalkMeを徹底比較します。
特に読者からよく質問を受けるのが次の2点です。
- 「価格感はどれくらい違うのか?」
- 「導入工数に差はあるのか?」
この2つを中心に、最終的な選び方の指針をまとめました。
すでにWalkMeの概要を理解している前提で進めますので、
まだの方は先にこちらの記事をご覧ください。
👉 WalkMeの概要とEnable Nowとの比較記事はこちら
Techtouchとは?
Techtouchは、国産のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)です。
Webアプリや業務システムの画面上にノーコードで操作ガイドを表示でき、
マニュアルを読まなくてもユーザーが操作を進められるようにします。
特徴
- 完全ノーコード:エンジニアでなくてもガイド作成が可能
- 日本語対応・国内サポート:UIからサポートまで日本語で完結
- 素早い導入:ブラウザ拡張型で、数週間〜数か月で利用開始できる
- マニュアル削減:ドキュメント作成工数を大幅に削減
SAP・Salesforceなどの海外製システムだけでなく、
自社開発システムや国内SaaSにも適用しやすいのが魅力です。
WalkMeとTechtouchの比較ポイント
比較軸 | WalkMe | Techtouch |
---|---|---|
提供形態 | クラウド中心(グローバル標準) | クラウド(国産・国内最適化) |
導入難易度 | 高機能だが設定・運用に知識が必要 | ノーコードで簡単、非エンジニアでも運用可 |
主な利用シーン | 大規模グローバル展開、ERP定着支援 | 国内SaaS・社内Webシステムのオンボーディング |
サポート | 英語中心、国内はパートナー経由 | 日本語サポートが充実、改善サイクルが早い |
分析機能 | 高度なユーザー行動分析・KPI管理 | 基本的な利用状況の可視化 |
カスタマイズ性 | 条件分岐・API連携など高度に設定可 | UI編集が簡単、シンプルな条件分岐中心 |
価格感 | 年間数百万円〜数千万円 | 年間数十万円〜数百万円 |
導入工数 | 数か月〜半年以上かかることも | 2週間〜3か月程度で利用開始可能 |
次章から、特に注目度の高い価格感と導入工数を詳しく見ていきます。
価格感の比較
価格は公式サイトに明示されないことが多く、利用規模や契約内容によって変動しますが、
一般的な傾向は以下の通りです。
WalkMe
- 年間1,000万〜数千万円になるケースも珍しくない
- 課金はユーザー数や対象システム数、分析機能の利用範囲で変わる
- SAPなど大規模ERPと組み合わせる場合は高額化しやすい
- グローバル展開や多言語対応を想定するとコストが跳ね上がる傾向
Techtouch
- 年間数十万円〜数百万円から導入可能
- ノーコード設計で初期費用が抑えられる
- ユーザー数や利用範囲によって変動はあるが、国産サービスらしく柔軟な価格体系
💡 まとめると
- グローバルで大規模に展開したい → WalkMe(コストは高いが高機能)
- 国内中心でスモールスタートしたい → Techtouch(圧倒的に低コスト)
導入工数の比較
DAPは「導入すればすぐ使える」と思われがちですが、実際には初期工数に大きな差があります。
WalkMe
- 要件定義、シナリオ設計、環境構築、テストを経てリリース
- 外部コンサルタントや専任担当者を確保するケースが多い
- 初期導入だけで3〜6か月以上かかることも珍しくない
- 複雑なERPでは導入後も継続的な改善が必要
Techtouch
- ブラウザ拡張型でシステム改修不要
- ノーコードで設定でき、IT部門に大きな負荷をかけない
- 最初のガイドを2〜3週間で公開できるケースもある
- 本格運用まで1〜3か月程度が一般的
💡 まとめると
- 時間をかけてでも緻密なシナリオを作りたい → WalkMe
- 短期で効果を出し、改善サイクルを早く回したい → Techtouch
選び方の指針
評価軸 | WalkMeを選ぶポイント | Techtouchを選ぶポイント |
---|---|---|
対象ユーザー・利用環境 | グローバル展開を予定している / 多言語対応が必要 | 国内利用が中心 / 日本語UI・サポートを重視したい |
導入・運用リソース | 専任の担当者や外部コンサルを確保できる | ITリソースが限られている / 業務部門で運用したい |
導入スピード | 時間をかけてでも完成度の高いシナリオを構築したい | 早く効果を出したい / スモールスタートで改善を繰り返したい |
分析・改善レベル | ユーザー行動を詳細にトラッキングし、ROIを測定したい | 利用状況の可視化だけで十分 / 分析はシンプルでよい |
コスト・予算感 | 年間1,000万円以上の投資が許容できる | 年間数十万〜数百万円で始めたい / 低コスト重視 |
システムの複雑さ | ERPや複雑な業務プロセスを持つシステムに適用したい | 自社開発や国産SaaSなど比較的シンプルな業務システム |
💡 結論
- 戦略的かつグローバル規模でシステム定着を推進したい → WalkMe
- 短期間で成果を出し、コストを抑えながら国内展開 → Techtouch
Techtouchを導入する際のデメリット・注意点
Techtouchは日本国内での使いやすさや導入スピードに強みがありますが、以下のようなデメリットもあります。
- 機能の幅がWalkMeほど広くない
条件分岐や複雑なシナリオ構築、外部システムとの高度なAPI連携などは、WalkMeの方が優れています。複雑な業務プロセスを細かく制御したい場合は物足りなさを感じることがあります。 - 分析機能がシンプル
ガイドの利用数や完了率といった基本指標は確認できますが、ユーザーごとの詳細な行動トラッキングや高度なKPI分析はできません。ROIを数値で厳密に測りたい場合には限界があります。 - グローバル展開には不向き
多言語対応や海外拠点でのサポート体制は限定的です。国内企業中心のプロジェクトには向いていますが、将来的な海外展開を視野に入れる場合はWalkMeの方が安心です。 - ベンダーサポートが国内中心
サポートは日本語で手厚い反面、海外での利用や大規模なパートナーエコシステムはまだ発展途上です。
Techtouchは「国内向け・スモールスタート・スピード重視」では非常に優れていますが、グローバル展開や高度分析、大規模なカスタマイズを求める場合には限界がある点に注意が必要です。
まとめ
- 価格感:WalkMeは高価格・高機能、Techtouchは低コスト・国内向け
- 導入工数:WalkMeは数か月〜半年、Techtouchは最短2〜3週間でスタート可能
- 選び方:対象ユーザーの範囲、予算、導入スピード、分析の深さがカギ
特に「まずは国内向けに小さく始めたい」「専任リソースがない」という場合はTechtouchから検討するのがおすすめです。
一方、将来的にグローバル展開や高度な分析を視野に入れるならWalkMeが長期的に有利です。
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