SAP導入の新常識!RISEとGROWの違いを徹底比較

S/4HANA

最近「RISE with SAP」、「GROW with SAP」という言葉を耳にすることはないですか?
特にクラウドERPの導入や移行を検討している企業にとって、
この2つは非常に重要なキーワードです。

ただ、「RISEとGROW、名前は似ているけど何が違うの?」
と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、
RISE with SAPとGROW with SAPの違いを徹底的に比較し、
それぞれの特徴・メリット・デメリット・価格帯・導入後の運用負荷まで解説します。

この記事を読めば、自社に合うのはRISEなのかGROWなのか、
明確なヒントが得られるはずです!!


RISEとGROWができた背景とは?

まずは背景から見てみましょう。

従来のSAPはオンプレミス型が主流で、
導入には数年単位の時間と数億円規模の投資が必要でした。

大企業にとっては「安定性」「統合性」という大きな価値がありましたが、
中堅企業や新規導入企業にとってはハードルが高かったのも事実です。

しかし、クラウド技術の進化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の波により、
企業は「もっと柔軟に、もっと速くERPを導入したい」
というニーズを持つようになりました。

この背景を受けてSAPは、次の2つの選択肢を用意しました。

  • RISE with SAP:大企業や複雑な業務プロセスを抱える企業向け
  • GROW with SAP:中堅企業や初めてSAPを導入する企業向け

つまり、SAPは「規模や要件に応じて選べるERP導入モデル」を提供しているのです!!


RISE with SAPの概要

特徴・価格観点

区分内容
対象大企業・グローバル企業
提供形態プライベートクラウド
特徴柔軟なカスタマイズが可能、複雑な業務や業界要件にも対応

メリット

  • 柔軟性が非常に高い
  • グローバル展開や複雑な業務プロセスに適応
  • 既存システムとの統合も容易

デメリット

  • 導入に時間がかかる(数か月~数年)
  • 導入コスト・ライセンス費用ともに高額

👉 結論:大規模かつ複雑な企業に最適。


GROW with SAPの概要

特徴・価格観点

区分内容
対象中堅企業・SAPを初めて導入する企業
提供形態パブリッククラウド
特徴標準ベストプラクティスを利用し、短期間で導入可能

メリット

  • 導入スピードが速い(数か月程度)
  • 導入コストを抑えられる
  • シンプルな標準業務に沿った運用が可能

デメリット

  • カスタマイズ性は低い
  • 業務が複雑な企業には不向き

👉 結論:中堅企業がクラウドERPを「スピーディに」導入するのに適している。


パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い

クラウドERPを理解するうえで重要なのが、
「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の違いです。

パブリッククラウド】
複数の企業が同じクラウド環境を共有して利用する形態で、
低コストかつ短期間で導入できるのが特徴です。

四半期ごとの自動アップデートにより常に最新機能を利用でき、
標準業務にフィットする企業に適しています。

プライベートクラウド
自社専用のクラウド環境を利用する形態で、
セキュリティ要件や業界固有要件に合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
その分コストは高くなりがちですが、大企業や複雑な業務プロセスを持つ企業に向いています。

RISEとGROWの比較表

項目RISE with SAPGROW with SAP
対象企業大企業・グローバル企業中堅企業・新規SAP導入企業
提供形態プライベートクラウド パブリッククラウドのみ
導入スピード柔軟だが時間がかかる短期間(数か月レベル)
カスタマイズ性高い(業務に合わせて調整可能)低い(標準ベストプラクティス前提)
コスト高め(規模・柔軟性に応じて増大)比較的低コストで導入可能
サポート範囲複雑な業務プロセスや業界要件に対応標準業務プロセスに即したシンプル運用
事例の多さグローバル企業で導入実績多数中堅企業を中心に事例拡大中

💰 価格帯イメージ(ライセンス費用 × 導入費用)

RISE with SAP

費用区分目安特徴
ライセンス費用数千万円〜数億円規模ユーザー数・範囲で大きく変動
導入費用数千万円〜数億円カスタマイズやグローバル展開を含めるとさらに高額

👉 大規模・複雑案件向けで、投資規模も大きい。

GROW with SAP

費用区分目安特徴
ライセンス費用数百万円〜数千万円中堅企業向けで比較的導入しやすい価格帯
導入費用数百万円〜1億円標準導入前提で工数を抑制可能

👉 スピード重視のため、全体の投資額も抑えられる。


その他比較

価格やスピード以外でも、比較すべき観点があります。

比較軸RISE with SAPGROW with SAP
運用負荷カスタマイズ部分の運用は企業責任標準前提のため運用負荷は軽い
アップグレード対応柔軟だが調整や工数が発生四半期ごとの自動アップデートをそのまま享受可能
対象業務範囲サプライチェーン・製造・金融など幅広く対応基本業務中心(FI/CO/MM/SDなど)
パートナーエコシステム大手SIer中心、グローバル案件強い中堅向けのクラウドネイティブベンダー多い
契約形態柔軟だが複雑シンプルで分かりやすい

👉 特に「運用負荷」と「アップグレード対応」は、導入後のリアルに体感する重要な軸です。


どちらを選ぶべきか?シナリオ別

  • グローバル展開を予定している → RISE with SAP
  • 複雑な業務プロセスがある → RISE with SAP
  • 中堅企業で初めてSAPを導入 → GROW with SAP
  • スピード導入&標準業務で十分 → GROW with SAP

まとめ

  • RISE with SAP は大企業向けで柔軟性が高いが、導入に時間とコストがかかる。
  • GROW with SAP は中堅企業向けでスピード導入が可能だが、カスタマイズは制約される。
  • 価格感で見ると、
     RISEは「数千万円〜数億円規模」
     GROWは「数百万円〜1億円規模」が目安。
  • その他の比較軸(運用負荷・アップグレード対応など)も踏まえると、
    自社のリソース状況に合う方が選びやすい。

結論としては、

  • 複雑性・グローバル対応が必要ならRISE
  • シンプルに素早く導入したいならGROW

を選ぶのがベストです。

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