はじめに
最近「SAP Joule」という言葉を耳にしたことはありませんか?
SAPが新たに発表したAIコパイロットとして注目されているのが「Joule」です。
ChatGPTやMicrosoft Copilotのような汎用AIと違い、JouleはSAPの業務プロセスに特化している点が最大の特徴です。
本記事では、SAPコンサル向けに「Jouleの概要」「他AI製品との違い」「実際の業務でのユースケース」まで徹底解説します。これから提案やプロジェクトで関わる可能性がある方は、ぜひ参考にしてください。
Jouleとは何か?
Jouleは、SAPが提供する業務特化型AIコパイロットです。
生成AIのように自然言語での対話が可能で、ユーザーが入力した文脈に応じてSAPシステム内のデータを呼び出し、業務に即した提案を行います。
たとえば「今月の入金消込が滞っている取引先を教えて」と入力すれば、財務モジュールのデータを参照して回答してくれる、といったイメージです。
汎用AIと違い、SAP内のトランザクション・マスタ・業務データに直接アクセスできるのが大きな強みです。
Jouleが生まれた背景
SAPはこれまでにも「SAP Leonardo」や「BTP AIサービス」などAI関連の取り組みを行ってきました。
しかし、それらは専門的知識が必要で、利用者にとってはやや敷居が高いものでした。
そこで登場したのがJouleです。
- DX推進のニーズ:属人化した業務を減らし、スピード感を持った判断を可能にする
- RISE with SAP/GROW with SAPとの親和性:クラウド移行後の新しいユーザー体験を提供する
- ユーザビリティの強化:非エンジニアでも自然言語でSAPを操作可能にする
これらの背景から、Jouleは「SAPの新しい顔」として注目を集めています。
Jouleと他のAI製品との違い
ここでは、他の主要AI製品と比較しながら、Jouleの特徴を整理します。
ChatGPTやMicrosoft Copilotとの比較
- 対象範囲:ChatGPTはインターネットや公開情報を元に回答、CopilotはOffice製品との連携が強み
- Jouleの違い:SAPの業務データに直接アクセスできるため、伝票、購買、販売といったERP特有の情報を扱える
Salesforce EinsteinやOracle AIとの比較
- Salesforce Einstein:CRM領域に強いが、ERPの深部までは対応しない
- Oracle AI:ERPに統合されているが、SAPユーザーにとっては親和性が低い
- Jouleの独自性:SAP標準機能として、FioriやBTP上でシームレスに利用可能
Jouleの強み
- SAP業務プロセスに直結したAI支援
- ロールベースの権限管理に対応
- データセキュリティを前提とした設計
つまり、汎用AIが「広く浅く」支援するのに対し、Jouleは「SAP業務に深く」入り込むことができます。
Jouleの主要機能と特徴
- 自然言語でSAPを操作:トランザクションコード不要で、「売掛金の残高を確認」と入力するだけでOK
- 業務アシスト:承認プロセスの自動化や、異常値検知をサジェスト
- データ基盤との統合:SAP Business Data Fabricとの連携で、一貫したデータ活用が可能
これにより、ユーザーは従来より直感的かつ迅速にSAPを使えるようになります。
コンサルが知っておくべきポイント
コンサルにとって重要なのは、Jouleが業務プロセスにどんな変化をもたらすかです。
- 要件定義の変化:自然言語ベースの要件が増える
- 運用保守の効率化:問い合わせやトレーニングをJouleで代替可能
- 提案の武器になる:「AIを活用した次世代のユーザー体験」を提示できる
実際のユースケース例
- FI領域:未消込伝票の優先度提案、入金遅延の自動通知
- MM領域:購買依頼の承認フローをJouleに提案させる
- SD領域:販売実績を会話形式でレポート化
特に提案段階では「業務部門がイメージしやすいシナリオ」を用意することで効果が高まります。
Joule導入のメリットと課題
メリット
- ユーザー定着率の向上(教育コスト削減)
- 属人化の解消(AIによる業務知識補完)
- 意思決定の迅速化
課題
- 日本語対応の成熟度
- 権限管理とセキュリティ設計の複雑さ
- AI依存リスクへの懸念
これからの展望と戦略的な活用
SAPのロードマップ上、Jouleは単なる「便利ツール」ではなく、SAPクラウド時代の標準インターフェースとなる可能性があります。
他社ERPのAIと比較しても、「業務プロセスと一体化したAI」という強みを活かせるかどうかが鍵です。
コンサルとしては、まずPoCやデモを通じて顧客に体験させることが第一歩となります。
まとめ
- JouleはSAPに特化したAIコパイロットであり、従来の生成AIとは一線を画す
- 他AI製品に比べ、ERP業務に直結する強みがある
- コンサルにとっては「提案価値を高める武器」となる
今後のSAP導入や運用の現場では、Jouleを前提とした議論が当たり前になっていくでしょう。
今のうちに理解を深めておくことが、次のステップにつながります。
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